口臭が臭すぎた上司の話

私は鼻がいいと言われる方であり、口臭はもちろんですが、

人の匂いや髪の匂い、食べ物の匂いに至るまで気になってしまう体質です。

それは遡れば新入社員であった時の上司に関係があると思います。

上司はニンニクが大好きでたまらないという方でした。

食べ物の趣味は人それぞれです。

私にしてみればニンニクは健康に良いものというイメージも強く、最初は特に気にしておりませんでした。

ですが、それは本当に最初だけと言わざる終えません。

1日2日ならば耐えて見せますが、

何とその上司は毎日ニンニクを食べるどころか昼食を食べる部屋にあるストーブでニンニクを焼いて食べるのです。

聞けば1日に5個は食べるようにしているのだとか!

健康に気を使っているのだと誇らしげに語った上司に私はポカンと口を開けて固まってしまいました。

まだまだ社会に出たばかりの新人でしたので、田舎の会社だから皆気にしないのだな。

私はこの匂いに我慢するほかないのかと思っておりました。

しかし、仕事に慣れて周りが見えるようになってみれば

周りの人は上司がいる日はすぐに外回りに飛んでいって会社に居ようとしません。

もちろんお客様も扉を開けた瞬間に固まったり、人によっては扉を閉めて踵を返す、扉の向こうで手招きして私が外で応対するなどもありました。

長く室内にいれば段々と鼻が麻痺して来ましたが、外に出て新鮮な空気を吸った時には自分の制服がニンニク臭いように思えて仕方ありませんでした。

いえ、今思えば本当にニンニクの匂いが染み付いていたのでしょう。

そうしてまた室内に戻ればニンニクの強烈な匂い。

ニンニクの匂いが目に染みる事を私はその時初めて知りました。

しかし私は社会に出たばかりの新人。

上司に口答えすることも、ましてや「くさいです」などと口にする事なんてもちろんできませんでした。

社会に出れば大変な事は沢山あると色々な方に教わってはおりましたが、まさかニンニクの匂いに毎日耐えるというような大変さもあるのだとは全く考えてはいませんでした。

何度か上司の上司の方に「仕事で何か困った事はないか」と言っていただきましたが、ニンニクの匂いは仕事に含まれるのか、いや、上司がくさいですなどという失礼極まりない事など言えるはずがないと思い「特にありません、ありがとうございます」としか言えませんでした。

転期がありましたのはそれからしばらくです。

その時には私は匂い対策にご遺体が出た際にも使用されるというやり方を調べて実践しておりました。

抜き打ちでこられたのか、どなたかから言われたのか私と上司達がいる部屋を上司の上司が開けました。

「おい、●●(これは上司の名前です)!今日はもう帰れ!ニンニクは金曜の夜しか食うな!」

それだけ言うとまたバタンと力強く扉が閉められました。

誰も喋ることが出来ないまま、上司は荷物をまとめて退社しました。

今思えば、そんな事になる前に一言二言上司にちゃんと言えればよかったなと思います。

これが私の匂いが気になるようになったエピソードです。
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